臨床

脳表ヘモジデリン沈着症について【MRI】_superficial siderosis_

どうも、ドドド(@dododo_500)です。本日書いた記事は

MRやってるとたまーに出くわすこの病気。
今日も出会ったので、これを機に自分のためにまとめたいと思います。

この記事でわかること

・脳表ヘモジデリン沈着症に関する基礎知識
・古典型脳表ヘモジデリン沈着症のMRIの特徴
・限局型脳表ヘモジデリン沈着症のMRIの特徴
・放射線技師として出来ること

脳表ヘモジデリン沈着症(SS)とは

脳の表面、軟膜下ヘモジデリン=鉄が沈着する病気のことです。

古典型と限局型に分けられ、脳表ヘモジデリン沈着症(SS)といったら古典型を指す場合が多い。

MRIが普及する前は頭開けてみないと分からない病気でした

ヘモジデリン=鉄なので、MRIの検出感度的には

SWI   >   T2*   >   T2

で、低信号になります。

DWIのb0でも分かるよ

原因は、持続的な出血もしくは反復した出血があり、赤血球中の鉄がヘモジデリンとして沈着することです。
なぜ出血があるかは古典型と限局型で異なります。

古典型脳表ヘモジデリン沈着症:classic SS

主に小脳や脳幹、脊髄に広く対称性に黒い縁取りが見られます。
出血の原因が脊髄硬膜病変であることが多いため、全脊髄の撮像も必要です。

症状は感音性難聴、小脳失調、脊髄症、認知機能障害などです。

小脳失調とは、うまいこと筋肉をコントロールできなくなること。
字を書いたり、ボタンを留めたり、ふらつきがあったり、呂律がまわらないなどの症状がでます。

脊髄症では、細かい手の動作ができなくなったり、足がもつれたり、排尿障害などの症状がでます。

具体的にどんな脊髄硬膜病変があるかといえば

・オペ後の硬膜外への液体貯留
・突発性脊髄ヘルニア
・髄膜瘤
・脳脊髄液減少症
・脊髄腫瘍

などがあります。
頭に古典型SSがあったら、脊髄に上記のような病変がないか見てみましょう。あたりをつけて探すとまた違った見え方になるものです。

限局型脳表ヘモジデリン沈着症:localized SS

限局型の出血原因は頭蓋内の出血病変です。
持続あるいは反復的に出血を繰り返すことにより、ヘモジデリンが病変周囲に沈着します。

左右非対称で、具体的には、くも膜下出血やAVM、脳腫瘍、脳アミロイド血管症のことが多いです。

症状は病変部位によって異なるので、決まったものはありません。

放射線技師として出来ること

脳表ヘモジデリン沈着症というワードを依頼状などに見つけたら

・T2*(SWI)をとる
・脊髄の撮像の提案
・シーケンスの優先度変更
・接遇に気を配る(いつもだけど)

T2*(SWI)をとる

MRIの感度はSWI>T2*>T2>DWI b0 です。

脳表ヘモジデリン沈着症の疑いでしたら、感度の高いSWIが良いかと思います。病変があるかないか、0 or 1なら感度高く撮像し、はっきりさせた方が良いからです。

経過観察やフォローでは、当然ですが、過去と合わせてください。
T2*でフォローしてたのに、今回だけSWIに置き換えると過大評価となる可能性もあります。

あくまで、シーケンスの追加という形が個人的には好きです。置き換えではなくて。
経時的変化は同じシーケンスで、T2しか撮ってないなら追加は好ましいです。

脊髄の撮像の提案

小脳や後頭蓋に左右対称で広範囲なT2系低信号の縁取りは、古典型脳表ヘモジデリン沈着症です。

原因病変が不明なら、その探索と今後の治療方針決定のために全脊髄の撮像をするかどうか依頼医(放射線科医)に確認するのが良いと思いますが、予約枠や集計などの都合もあるでしょうから、緊急性を考えてもらって今撮るのか、改めて予約枠を取ってから別日に撮るのか決めるのが落とし所でしょうか。

シーケンスの優先度変更

閉所恐怖症がある患者さんや、子供など、MRI検査を完遂することが出来ない恐れのあるときは、キーとなるシーケンスを優先的に撮像する必要があります。

脳表ヘモジデリン沈着症ならT2系優先です。全脊髄でもT2 sagから撮りましょう。

SWIは時間がかかります。感度は高いですが、撮れなければ意味ないのでうまく使い分けをしましょう。

接遇に気を配る(いつもだけど)

古典型SSでは感音性難聴、小脳失調、脊髄症、認知機能障害などがあります。

聞こえが悪ければ検査の説明は少し大きな声で、ふらつきがあれば手を取り支えたり、細かい動作が苦手ならばボタンを留めてあげたり、認知機能低下があればご家族に会うまで付き添ったり

病気をしってるからこそ、できる接遇があると思います。

まとめ

脳表ヘモジデリン沈着症は、軟膜下にヘモジデリン=鉄が沈着する病気で慢性的 な出血が原因です。

T2系で低信号の縁取りが見られ、感度はSWI>T2*>T2>DWI b0
古典型と限局型に分けられ、古典型は対称性で時には脊髄まで広く分布する。
限局型はその名のとおり限局し、非対称性です。

古典型の出血原因は脊髄硬膜病変のことが多く、限局型の出血原因はくも膜下出血やAVM、脳腫瘍、脳アミロイド血管症のことが多い。

ABOUT ME
ドドド
本職は放射線技師。仕事をしながら平日は投資、土日はサーフィン&家族とお出かけの日々を過ごす30代男性。サイドFIREを最終目標に資産形成中!