どうもべこです。
私、こう見えても(どう見えてるんだ…)診療放射線技師として真面目に仕事しているわけなんですが
仕事上、検査の練習として被験者を頼まれることが多々あります。そこで心臓の動きに合わせながら撮像する心電同期の練習台としてMRIを撮像したのです。
すると、同僚から「不整脈があって、撮像しずらかった」と。分かりやすく言うならば、「心臓の動きが一定であれば撮影しやすいのに、心臓の動きが一定じゃないときがあるから撮影しにくかった」と言うことです。
過去に失神を2度経験しているべこ。少し不安になり、ちゃんとした心臓の検査を受けることを決めました。
不整脈とは
不整脈とは心臓のドクンドクンというリズムが異常になった状態のことを言います。普通は1分間に60-80回のリズムが、もっと遅くなる「徐脈」・もっと早くなる「頻脈」・脈が飛ぶように感じる「期外収縮」の3つに分けられます。
この中でべこはおそらく期外収縮だろうということで精密検査をうけることに。
期外収縮とは
心臓がきちんと血液を送り出すには、きちんとした順番・場所で電気信号が心臓に流れ、収縮しなければなりません。期外収縮では異なった場所で電気信号が発生してしまい、結果として脈が飛ぶように感じます。この異なった場所が心房なら上室性期外収縮、心室なら心室性期外収縮といいます。
よく健康診断などでも見つかり、ほとんどの人が持っているとされていますが、ほっといて良いものとそうでないものがあります。症状は無症状の人もいれば、動悸がする人もいたり、人それぞれです。べこはまったくなんにも感じていませんでした。
原因はストレス・睡眠不足・喫煙・飲酒・カフェインとりすぎ・加齢・疲労など、もしくは心臓に疾患があると期外収縮が誘発される可能性があります。
期外収縮の検査
べこの場合は
- 12誘導心電図(安静時の心電図)
- ホルター心電図(24時間付けっぱなし心電図)
- 心エコー(超音波検査)
の検査をしました。
心電図の検査で期外収縮の有無を確認できます。ホルター心電図は24時間ずっとつけっぱなしの心電計で、お腹にまきつけておくタイプ、シャワーOKでした!また、心エコー検査は心臓に基礎疾患がないかのスクリーニングのために検査しました。
みなさん気になるお金事情ですが、12誘導心電図は保険点数130点、つまり1300円の3割負担で390円。ホルター心電図は1750点で負担5250円、超音波検査は880点で2640円の負担でした。
べこの検査結果
べこの心電図です。赤点線で囲っているところが期外収縮の波形です。
しっかり出てますね~笑
次にホルター心電図の結果ですが
- 総心拍数 103132拍
- 心拍数 46-125回(平均75回)
- 上室性期外収縮PAC 47個
- 心室期外収縮PVC 15823個(2連発293回)
- 非持続性心室頻拍NSVT 2回
- 房室ブロック その他Ⅱ度
- 最大RR時間 2.6秒
と、ざっくりこんな感じでした。
期外収縮自体は先程に書いたようにほどんどの人に見られるのですが、べこはこの心室期外収縮の数が多いようで全体の約15%が心室期外収縮でした。
また非持続性の心室頻拍が2回あり、心機能の評価と基礎心疾患の精査が必要と判断されました。心エコー上、心拡大もないし、なにか疾患がありそうではなかったですが、心筋の炎症の評価など念のためMRIで検査することになりました。
採血と造影MRI
期外収縮の数が多いのと、非持続性心室頻拍があったので、心機能評価・基礎疾患の精査のため、採血と造影MRIを受けることになりました。
採血で分かること
採血でBNPと呼ばれる心臓のホルモンの数値を確認できます。この値は心臓になにか疾患があるかどうか、また疾患がある場合それがどのくらいなのかの評価、治療したあとの効果判定、予後の予測指標などに使われいる心不全の生化学的マーカーです。
あとは、造影MRIを予定してましたので、腎機能も採血から測定しました。クレアチニンcreと糸球体濾過率eGFRと言います。クレアチニンは性別や年齢で正常値が少し変わってくるのでeGFR値で判断し、この値が60未満で軽度腎機能低下、30を下回っていると造影剤を使うことができなくなってしまいます。
べこの採血結果
- BNP 6.7
- Cre 0.99
- eGFR 73.9
よし!大正常ですね!採血結果上は心疾患はなさそうで、造影検査もできそうです。
お金は1128点で3384円かかりました。
単純・造影MRIで分かること
心臓MRIでわかることは、心機能や形の評価、心筋の虚血評価などいろいろな情報を得ることができます。もう少し具体的に説明しますと、心臓そもそもの形や冠動脈が細くなっていないか、心臓の大きさ(容積)や血液を送り出す能力(駆出率)、心筋の浮腫、腫瘍の有無、心筋虚血の状態、血栓など…
べこは期外収縮の数が多いため、心臓の筋肉が痛んでしまっていないか確認する目的で心筋の遅延造影を撮像しました。遅延造影では心筋梗塞や線維化、炎症など心筋障害の診断に有用で、特に炎症がないかどうかはっきりさせたかったためです。
MRIで使う造影剤はガドリニウム製の造影剤で、正常な心筋は2~3分で造影剤が均一にいきわたるのですが、異常な心筋があると、そこへの血流が低下しているため、造影剤がゆっくりしみわたります。つまり、造影剤を投与してから10分以上時間をあけて撮像することで、異常のある心筋だけ造影剤が濃く残った状態(白くなる)で画像化することができます。この「時間をあける」というのが「遅延」というところです。
べこの造影MRI結果
べこの遅延造影のMRI画像です。赤丸で囲ってある中に黒く縁どりされたようになっているところが心筋です。
造影剤が残っている白くなったとこは・・・
・・・ないッッッ!!!!
遅延造影で造影剤が取り込まれる心臓の病気や、心筋に炎症などは指摘出来ませんでした!
助かった〜(_´Д`)ノ~~オツカレー
しかし、心エコーでは問題ないとされた心臓の大きさ(心拡大)が、MRI上では体格の割に「少し拡大している」との指摘が(;゚Д゚)!
心拡大については、心エコーよりもMRIの方がより正確とのデータがあるので、やはり少し心臓おっきくなっちゃってるのかな〜
さて、今日のお会計は3845点で11535円
やはり造影剤が入るとお金も高くなりますね~
最終的な結論
- 不整脈の原因は心室期外収縮だった
- 普通はほっといて問題ないが1万5000発は多い方なので精査が必要になった
- 心エコーと造影MRIの画像検査結果基礎疾患はなかったので治療の必要なし
- 1年ごとのフォローとなった