g-factorって聞いたことあるんだけど、難しそう…
分かるように、よくよく説明すっから、さすけねぇ~
ここではg-factor:geometry factorをなるべく簡単に説明していきます。
g-factorとは
パラレルイメージングにおいて、コイルの設定条件(ポジショニング)とパラレルイメージング計算ソフト(アルゴリズム)の精度に伴うfactor
メジカルビュー社 土屋 一洋(監修) 扇 和之(編集) 「MRIデータブック最新用語辞典」
各ボクセルの折り返しを元に戻す正確さを示す因子
学研メディカル秀潤社 荒木 力 「MRI 完全解説」
なんのこっちゃって方、安心してください。
もう少し具体的に見ていきましょう。
まずはパラレルイメージングから
パラレルイメージングとは高速撮像の技術の一つで大きく分けてSENSE系とSMASH系に分けられますが、数学的には同じことを違うステップを踏んで行っています。
どちらの手法もk空間を間引いてデータを取得し、それを元に戻し、画像を作ることは同じです。
ただ、元に戻す仕方が異なるだけです。
間引いてデータ取得 ➡ 折り返した画像を作成 ➡ 感度マップより折り返しを元に戻す
間引いてデータ取得 ➡ k空間上でデータを作成 ➡ フル充填されたk空間を画像にする
k空間の間引き率と計算上のSNR
SENSE系にしろ、SMASH系にしろ、k空間に充填するデータを間引いて取得することにより、時間短縮を図っています。間引けば間引くだけ撮像時間は短く済みますが、それだけデータを取得しないのでSNRは小さくなってしまいます。
どのくらい間引くのかは、R-factor(リダクションファクター)で調節可能です。通常2~3くらいの数値が設定されることが多いです。また、各社ごとに呼び名が少し違いますが、acceleration factorとかSENSE factorとか書いてあるかもしれません。
R-factorが2ですと、ひとつ飛ばしでデータを取得することになります。位相エンコードステップが256であれば、128で済むということですね。
つまり、R-factor2で撮像時間は1/2になります。
そこでSNRは1/√2になります。約0.7倍ということです。
R-factorが3であれば、1/√3で、約0.58倍です。
g-factorと実際のSNR
パラレルイメージングを使用した時のSNRは上記の計算により、1/√Rになるのですが、実際はこの値よりもSNRが悪くなってしまいます。
なぜもっと悪くなってしまうのか。それは
これら複数の影響が絡み合って、計算通りのSNRよりも悪くなります。
この影響をすべてまとめてgeometry factor : g-factorと呼んでいます。
なのでg-factorは最小でも1となり、コイルの配置やR-factorによって1以上と上昇します。
R-factorが大きくなると、データ数が減少して、展開処理精度が低くなってしまうからです。
これらを踏まえたパラレルイメージング使用時のSNRの式がこちらです。
g-factorを小さくするには
上記で述べたg-factor上昇の要因である
・コイルの幾何学的配置
・コイルのチャンネル数
・展開処理精度(アルゴリズム)
・コイル配置と位相エンコード方向
などを改善すればいいということになります。
展開処理精度に関しては別の記事で詳しく解説していますので、こちらをご覧ください。